里山再生について
里山の価値
里山は数百年、千年の昔から自然と抗い共に暮らしてきた人々の生きる知恵が蓄積された人類共通の宝箱です。
かつて里山は木材、燃料、肥料、食料、薬草を供給するなど人間の生存に欠かせない存在でしたが、現代では輸入材、化石燃料、化学薬品などに取って代わられたために、里山の生産的価値が低下して人の手が入らなくなりました。
里山が放置されると生態系が大きく変化して今まで生息していた動植物は住み続けることができなくなり、中にはゴミ捨て場にされるなど荒れ果ててしまいました。
近年、里山の役割が生産の場だけでなく、「環境保全」、「美しい景観」、「文化の伝承」、「教育」などの場として重要性が見直されてきています。
里山への思い
里山活動は昔に戻そうとするものではありません。先人の知恵を評価し考え直すことです。
遊び、教育、資源など利用目的は様々ですが、里山を再生保全し、有効に活用しようとする市民活動が広がっています。
ゲーム遊びの子供たちの里山体験は五感を刺激し豊かな感性を呼び戻します。
炭は炭素固定の役割があり、脱臭、防虫、水質浄化など様々な機能が見直されています。
里山の二次的な自然は多様な生物の生息の場でもあります。
環境にやさしい有機農業や地産地消にも里山はかかせません。
取り組みの経緯
守谷は関東平野に位置し、高い山はありませんが平地林や屋敷林が広く残されています。
1.耕作放棄地の再生と農業体験
長い間耕作放棄され、ゴミ捨て場となっていた田んぼのゴミを拾い、田んぼを再生し、地域の子供たちの農業体験の場として活用することにしました。
2.上総堀の実施
田んぼが再生されても大規模都市開発で上流域が開発され農業用水が不足していたことから
関東地方の伝統技術である「上総堀」により水源の安定化を図りました。
3.平地林や斜面林の管理、炭焼き
身近にある平地林や屋敷林ですが、適正に管理されず、竹林暴走など環境上の問題でした。
そのため、市民団体が間伐や炭焼きに取り組み、竹炭を生活に活用する取り組みを行っています。
4.安心安全な自然との触れ合いの場
市民団体の手によって再生整備された里山を、親子自然体験、農業体験、自然観察会など、身近な自然との触れ合いの場として活用しています。
5.マコモの栽培
また、利根川湿地の原風景でもあった「マコモ」を栽培し、原風景の再生だけでなく健康食品として新たな価値を創造しています。